人類は文明社会を形成する以前から「群れ」を形成して、自然や他の種族の生き物に対抗して生き延びてきました。
大勢の中に身を置かなければ命を長らえられない。
それが、すっかり薄れたとは言え、いまだに組み込まれている「動物」としての本能なのです。
だからこそ、どんなに窮屈であっても人は社会に関わりを持とうとするのでしょう。

しかし、現代人は他者とのつながりが希薄になり、心を開放的に通い合わせるようなコミュニケーションを苦手とする傾向が強くなっています。
人間関係がうまくいかない。だけど、お互いに頼りになる「仲間」を見つけたい。
そんなジレンマに陥っているならば、自分の心や振る舞いから見直してみたほうがいいのかも知れません。

「心の壁」に気付くことから始めよう

表面的なやり取りでは、会話している相手の本心まではなかなか手が届かないものです。
本音、真実の心。
胸の中心に据えた不変の要素。それこそが、本質的な相互理解のために開示し合うべき情報なのですが、「その人」を形成する基盤とも言える部分であるため、特に大人は自分を守るために秘匿します。
自分自身ともいえる要素を無防備に解放できるほど豪胆な人物などいない、と思っていいでしょう。
相手が自分を守ろうとして張り巡らせた「心の壁」と、働きかける側が作り出した「心の壁」は、相乗効果でお互いに距離を作ります。そのような状態で親しくなれるわけがないですよね。

人間関係を円滑に、親愛をそそげるものに育てるためにはまず「心の壁」の存在に気付くところから始める必要があります。

「営業マン」に学ぶ交流のメソッド

人間関係を作るのは「コミュニケーション」です。
コミュニケーションのエキスパートである営業マンの交流メソッドから、「心の壁」を突破する方法を考えてみましょう。

営業マンは初対面の相手と会話する機会がよくあります。
いかにして効率的に相手の心を解きほぐし、自分が相手にとって有用であること、会ってメリットがあり、会話して楽しめる相手であることを知ってもらうか。また、楽しいと思ってもらえる人間になれるかを追求し、業務に活かしています。
彼らは言います。

自分が提供したいもの、売りつけたいもの、言いたいことを押し付けるのではだめだと。
例え会社の商品を売ると言う営業目的が前提の出会いであったとしても、最初から商品の説明をしたところで耳を傾けてくれる人はほとんどいません。
人間関係を形成して初めて「商売」が成り立つのだと。

心の壁を突破する3つのステップがまとめられています。

心の壁を突破する3段階のステップアップ

まず、相手を知ること。
相手の考えや、そこにいる目的を聞き、何を必要としているのか把握しましょう。
次に、自分自身のこと。考えや目的、何故そこで何をしているのか知ってもらいましょう。ここで自分から「壁」を外して見せてください。いきなり完全に壁から抜けられるわけでもないですから、ここは徐々に、ゆっくりで構いません。
そして仕上げに、率直な意見交換をします。
お互いの間にある「仕事」をいったん棚上げにして、本音での交流を図るのです。
もしも相手と何かしらの取引が待っているのだとしても、この時間をかけるかかけないかで後々のやりやすさが大きく変わってくるでしょう。じっくり取り組む価値はあるはず。

これは、ビジネスの場以外でも有用なメソッドです。
異性関係にも同様のステップを組み込むことで、建設的な関係を作れます。
もしもステップの二段階目、自分から壁を抜けるところで戸惑うようでしたら、カウンセラーや占い師など、心の専門家にご相談ください。
壁の本質や、障害になっている要素を解明してサポートをご提供します。